自動分注装置とは

分注装置の利用ケース

分注装置は、その優れた機能と豊富なバリエーションから、様々な産業分野・研究領域において多種多様に活用されています。

ゲノムと分注装置

生物の持つ全遺伝子情報をゲノムと呼んでいます。 細菌のような簡単な生物でも遺伝子が数百もあり、その遺伝子情報は数十万字にもなります。製薬などの応用に期待がかかるこの分野の研究には、膨大なデータを取り扱えるコンピュータによる解析が不可欠で、バイオインフォマティクスと呼ばれています。 また、効率よく解析が進まなければ、30億とも言われる人間などの巨大なゲノムや多数の生物のゲノムを解析することはできません。そこで、ハイ・スループット=高い処理能力が装置には求められます。

ヒトゲノム計画

ヒトゲノム計画はヒトのゲノムを解析するプロジェクトです。(2003年4月14日完了)この計画がうまくいく鍵となったのはショットガン・シークエンシング法をよばれる解析法です。
遺伝子情報はATGCの4文字の組み合わせで表されます。しかし、この組み合わせは非常に大きく一度には解析できません。 そこで、解析できる数百から数千の組み合わせに、ランダムに切り分けます。
ランダムに切り分けたDNAはベクターとよばれる特殊なDNAに組み込まれ、大腸菌などを利用して、大量に培養します(クローニング)。 このとき培養液の分注や菌を植え付けるのに分注機が利用されます。
この後、DNAは読み取られ、ランダムに切り分けた部分をコンピュータを使って集計し、つなぎ合わせて、全体を解読します。

その他のヒトゲノム計画

ヒトゲノム計画は数あるゲノム解析計画の一つで、イネ、酵母、マウスやショウジョウバエなどのゲノムを解析する計画がいくつも存在し、 生物学や医療、農業への貢献が期待され、研究が盛んに行われています。これらの研究施設では、分注装置が活躍しています。

創薬と分注装置

新薬を開発する創薬は製薬会社の最も重要な事業の一つです。しかし、何もないところからスタートするのではなく、リード化合物と呼ばれる候補となる物質を合成したり、その一部を他の物資で取り替えたり、簡素化したりして最終的に、薬が作られます。
このリード化合物を選定するにも、大量の候補と作用させて、どれが効くか確かめなければなりません(スクリーニング)。大量の試薬とサンプルを扱うこの作業に分注装置は欠かせません。

アッセイ(分析評価)

いろいろなアッセイ(分析評価)が開発され、自動分注装置を利用した高速スクリーニング(HTS:High Throughput Screening)によって、自動化が進み、創薬のスピードアップが図られています。

DNAと分注装置

DNAは遺伝情報を構成する物質で、その特徴的な部分(塩基)によりACGTの4種類があります。DNAは鎖状につながり、さらに、2本の鎖がこのAGCTでつながり、2重らせん構造になっています。AはTとGはCとしかつながらないため、それぞれの鎖は、分かれてもそれぞれの相手と同じ鎖しか複製できません。このことで、確実に遺伝情報がコピーされ、細胞分裂の際に、伝えられます。

DNA鑑定

DNAの配列は、各個体で違い、また、親から子へ引き継がれます。これを根拠に親子関係や犯人特定に威力を発揮するのがDNA鑑定です。
しかし、60億有るといわれる人間のDNAをすべて読み取るのではなく、一定のパターンを見つけ、それが一致するか判定するものです。
ごくわずかなDNAはPCR法によって、何万倍にも複製されます。PCR法は、温度を上げてほどけた、2本の鎖に、あらかじめ入れておいたDNAの材料を温度下げて結合させて、複製を作る方法です。1サイクルでふえたDNAを希釈分注し、材料を追加し、複製を数十回繰り返します。大量のサンプルを扱うことや間違いが許されないこの作業は自動分注装置が適しています。

遺伝子発現解析

ヒトゲノム計画で人間の遺伝子は解析されましたが、まだ、個々の遺伝子がどのような役割を果たしているのか完全に解明されていません。
DNAで構成されている遺伝子は、その情報を元に主にタンパク質を作りだし、生物の中で機能させています。これを遺伝子発現といいます。
すべての遺伝子がいつも発現しているわけではなく、病気などとの結びつきも研究されています。この研究でも、分注装置が試薬の調整など、大きな役割を果たしています。

臨床検査と分注装置

臨床検査は病気の有無、程度、原因を数値で示すもので、健康診断で行われる血液や尿検査、心電図や血圧測定も臨床検査です。
臨床検査は被験者の身体そのものをしらべる生理機能検査と被験者からとりだされた検体を調べる検体検査に分けられます。
分注装置が活躍するのは検体検査です。

検体検査

大量の検査、多くの検査を行うため、分注装置が用いられています。例えば、血液検査では、血液中に含まれるコレステロール、血糖、中性脂肪などの量を定量したり、免疫反応で生じた血液中の抗原や抗体の量を測定します。 この免疫化学検査は、有る抗体だけに反応する物質を加え、反応物質を酵素や発光反応を利用して量を計ります。
さらにウィルス検査では、DNA鑑定と同様に複製によって、ウィルスの遺伝子を検出しますが、分注装置が培養や複製に使用されます。

タイピング

遺伝子の違い(遺伝子多型)によって、糖尿病、がん、リウマチ、喘息などの「病気のかかりやすさ」が違うことがわかってきました。
SNP(1塩基多型=1つの塩基の違いによる多型)は人間では300万あることになり、比較的検出しやすいく、病気の 遺伝子を探す有効な手段となります。
しかし、統計手法上1つのSNPと特定するために1000人のサンプルの検査が必要で、解析の必要な遺伝子数は億のオーダーになります。 この研究でも分注機が不可欠です。